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【学校名】

学校法人浅野学園 浅野中学校・浅野高等学校

【活動タイトル】

バイオチャー散布が森林生態系の炭素収支に与える影響の検証

【活動内容】

 本校には銅像山と呼ばれる混交林が存在している。銅像山には多くの生物が生息しており、神奈川県の鳥獣保護区として指定されている。また、私たち生物部は銅像山に生息する生物の採集や観察を活動の一環で行っている。森林生態系は貴重な炭素の貯蔵庫としてはたらいているが、近年では土地利用の転換や違法伐採による森林面積の減少により、森林生態系における二酸化炭素の固定量が減少し、地球温暖化の影響が強くなっているのが現状である。

 地球温暖化による気候変動の緩和策として注目されているのがバイオチャーである。バイオチャーとは、植物や動物の死骸を嫌気的条件下でかつ低温で加熱したもので、土壌改良効果や炭素隔離効果が期待されている。また、バイオチャーは散布を行った環境の炭素動態に大きな影響を与えると考えられている。バイオチャーを用いた研究では、農地や室内実験において草本に着目したものが多く、森林に活用した研究は少ない。また、どの研究も1年程度の短期間での結果であり、バイオチャーの効果を長期的に検証した研究はほとんどない。

 私たちはこのバイオチャーを森林生態系である銅像山に用いて森林生態系の炭素収支に与える影響やバイオチャーの炭素隔離効果の検証を行うことで、森林生態系を守り、生物の保全につなげたいと考えた。

REPORT

✨PR資料

 

【活動による成果・効果または活動によって今後期待できること】

 本研究により、森林生態系におけるバイオチャー散布は森林における炭素固定機能の維持や改善につながり、バイオチャーとしての炭素隔離効果も同時に発揮できることが長期的な測定によって明らかになった。また、バイオチャーの効果の持続期間も散布4年目までであれば正の効果を発揮できることが分かったため、今後も測定を継続し、効果がなくなる時期を結果として示したいと考えている。一方で、バイオチャー非散布区の経年変化から地球温暖化による気候変動の影響によって森林生態系の炭素収支は負の影響を受けていることも分かった。特に気温や降水量、日照時間などの環境要因の変動は炭素固定量、炭素放出量のどちらにも負の影響を与える結果となった。バイオチャーを用いた炭素隔離効果など、地球温暖化への対策には世界規模で取り組むことで、生物の環境を守ることが必要であると考えている。

【アピールポイント(活動において特に工夫したこと、注意・注目したことなど)】

 本研究では森林における研究や効果の長期的検証をおこなった研究の少ないバイオチャーを、鳥獣保護区に指定されている本校の森林に散布することでその効果を実証し、バイオチャーの実用化に近づけることを目指した。

 森林を対象としている研究ではその立地から、測定回数が少なくなってしまう傾向にある。しかし、本研究では校内にある森林という環境を活用することでより多くの測定を行い、常に森林の状況を把握することできる。これによってバイオチャーのより正確な効果を実証でき、その実用化に役立つ結果を出せると考えている。また、本校が横浜市の住宅街に位置していることから、本校の森林における効果を実証できれば都市部の公園や緑地など、身近な森林生態系を保護することにつながると考えている。

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