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【学校名】

近畿大学附属広島高等学校・中学校 福山校

【活動タイトル】

『 里山・里海づくりを通した、瀬戸内の環境保全への取り組み 』

【活動内容】

活動1:ビオトープづくりによる、瀬戸の里山再生

 科学部は2019年より、学校の敷地にビオトープ創作を始め、瀬戸の里山再生に取り組んでいます。ビオトープは自然ゾーンと人の営みゾーンにゾーニングし、自然ゾーンでは広島県の準絶滅危惧種であるニホンアカガエルが4 年連続で自然繁殖しています。また、人の営みゾーンでは、福山市特産のクワイを栽培するなど、人と自然の調和を目指して取り組んでいます。現在は、絶滅危惧種であるスイゲンゼニタナゴの域外保全の場とすることを目指し、池の大改修に取り組んでいます。


活動2:生態調査と外来種駆除

 科学部では、毎年、学校の前を流れる瀬戸川にて生物調査を行っています。また、用水路などで外来種を駆除し、駆除した外来種は標本にしたり、料理をするなどして、有効活用を模索しています。


活動3:水質調査

 科学部の部員は、高校の総合探究のチームと協力して、水質調査を行いました。何千リットルもの水をろ過してマイクロプラスティックを取り出し、大学の研究室のご協力をいただき、プラスティックの種類を同定しました。


活動4:大会出場を通した、活動の広報

 科学部は、活動の取り組みを広く知っていただくため、各種大会に積極的にチャレンジしています。スポGOMI甲子園広島県大会優勝、うみぽす甲子園全国グランプリ受賞など多くの実績をあげています。


活動5:展示イベントの実施

 瀬戸内の里山や芦田川水系の環境の実態、絶滅が危惧されるスイゲンゼニタナゴの存在などを市民の皆さまに知っていただくため、福山市の中央図書館にて「芦田川水族館」という展示イベントを実施しました(2024年2月11日)。イベントではこども達にも親しみを持ってもらえるよう、魚釣りゲームやプラ板キーホルダーづくり等も行いました。また、芦田川水系スイゲンゼニタナゴ保全地域協議会のご協力をいただき、スイゲンゼニタナゴの生体展示も実施しました。


活動6:シンポジウムでの発表

 「スイゲンゼニタナゴの保全」に関するシンポジウムにて、「スイゲンゼニタナゴ保全に関する中高生からの提言」というタイトルで発表をしました(2024年5月25日)。スイゲンゼニタナゴ保全が抱える課題について、中高生ならではの視点で提言を行いました。


活動7:各団体と連携した、海洋ゴミ問題等への取り組み

 RCC中国放送と連携して、海洋ゴミ問題等に取り組んでいます。県を超えて中高生が集い、清掃活動や交流会を実施しました。また、漁協を訪れ、牡蠣養殖におけるプラスティック利用の現状を教えていただいたり、海洋ゴミ問題に取り組む各方面のプロフェッショナルから、現状と課題を教えていただいたりしています。

 今までの活動で得た知見などは、福山生徒会連合やふくやま社中が主催した「福山フェス」というイベントでポスター展示を行うなど、広く発信をしています。


活動8:地引き網による漁業の活性化

 科学部は、白石島にて小・中学生対象の地引き網イベントを実施しました(2023年10月14日)。 漁師さんの減少・高齢化がすすみ、漁業の担い手不足が深刻化するなか、漁の楽しさを若者に知っていただくイベントとして、参加者には大変好評でした。


活動9:「海のビオトープ」による里海づくり

 科学部は、「白石島新港学術利用協会」に入会し、「海のビオトープ」を創作することで里海づくりに取り組んでいます。白石島新港は漁業にはほとんど利用されなくなった港で、現在、学術利用の拠点として整備が進められています。科学部はこの港に、小学生が連結した牡蠣殻をつるす「牡蠣筏型海のビオトープ」を浮かべ、その環境への影響や教育効果を研究しています。この秋には、里海学習や水中ドローンで海のビオトープを観察する「白石島里海遠足2024」という小・中学生対象のイベントを実施します(2024年10月19日)。


活動10:科学部オフィシャルホームページの開設

 科学部の活動を、詳しく知っていただくため、科学部オフィシャルホームページを開設しました。科学部の活動を網羅的に、かつ詳しく分かるよう、見やすいページ作成を心掛けました。

https://sites.google.com/fukuyama.kindai.ac.jp/kindaikagakubu/

REPORT

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✨PR資料

 

【活動による成果・効果または活動によって今後期待できること】

 科学部の活動による一番の成果・効果は、多くの若者を環境保全活動に巻き込んだことです。学校内でのビオトープづくりにより、科学部の部員はみるみる増え、多い年度では100名を超える部員となりました。この5年間では卒業生も含め約200名の部員が活動に関わっています。

また、活動を通して、多くの団体と協力関係が築けてきたもの成果です。生物関係では「びんご自然史研究会」、農業では「福山市農業協同組合」、里海づくりでは「かさおか島ラボ」・「ひなせうみラボ」・「笠岡漁協白石島支所」・「里海づくり研究会議」・「白石島新港学術利用協会」などなど、書き切れないほど多くの協力関係ができました。海洋ゴミ問題では、「RCC中国放送」との連携により、「瀬戸内オーシャンズX」など様々な団体との関係が広がっています。活動が活動を呼び、今後もますます連携がひろがること間違いなしです。

 また、団体とのつながりだけでなく、市民の皆さま、特に小学生を中心とした環境問題を担う次世代に取り組みを広げることができているのも成果です。「地引き網イベント」や「里海遠足」によって、小・中学生を巻き込んだ活動ができています。

 科学部の活動は、ビオトープなどを通して、ニホンアカガエルなどの絶滅の心配のある生物を実際に保全するだけでなく、各種のイベントにより、市民の皆さまに広く周知できていることが大きな成果・特徴です。

【アピールポイント(活動において特に工夫したこと、注意・注目したことなど)】

 活動においては、「実際に体験すること」を心掛けています。例えば、ビオトープづくりでは、いっさい業者の手や重機は借りずに、中・高校生の部員達が自らの手で大地を掘り、池を作っています。時には、暗くなるまで手にマメを作りながら、シャベルで池を掘りました。実際に体験するからこそ、自然の大切さや、自然を守ることの大変さを、部員達は実感しています。

 また、ビオトープは自然度が高まるよう、エコトーンに徹底してこだわって、池の形状や水深などを計算して作成しています。瀬戸内の里山は、人と自然の関わりの中で形成されてきたため、本校の科学部も人の営みは否定することなく、自然と人の営みが調和するように取り組みを続けています。

活動全体としては、内に閉じこもらないように多くの団体と協力関係を築き、また、里山・里海の素晴らしさや、保全の大切さが伝わるように、広報活動に努めています。各種イベントは、今後も継続して実施していく予定です。活動が活動を呼び、仲間がますます増えているのを実感します。里山から里海まで、森・里・川・海のつながりを人の手で取り戻すような活動を続けていきたいと考えています。

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