【学校名】
愛知県立明和高等学校
【活動タイトル】
明和高周辺の生態調査
【活動開始年】2021年
【活動に関わっている学年および生徒の数】
高校1年7人、高校2年2人、高校3年4人
【活動内容】
市街地に存在する自然環境とその生態系について調査を行っている。2021年の春から、本校(明和高校)に隣接する名古屋城外堀に生息する野生のタヌキの生態を、定点カメラによる撮影とフンの内容物の解析によって調べている。調査の結果、タヌキは3年連続で春に繁殖していることが確認できた。また、定点カメラの設置位置を増やしたことによりおおよその行動範囲やルートも少しずつ明らかになっている。タヌキ以外の野生動物(ハクビシン・イタチ・キツネなど)の動向も徐々に分かってきた。
明和高校は愛知県名古屋市の市街地中心部に位置しており、都会であることから、大型の野生動物が住みついているとは想像しにくい地域にある。周辺地域への聞き込みや小学生へのアンケート調査でも、野生動物がいる認識は低いと考えられる。私たち自身も、調査を始めるまでは、学校周辺に自然環境が存在するという認識すら薄かったと言える。そこで、周辺の地域の人々に、この地域の生態系についてもっと知ってもらうために、地域の小学校(名古屋市立清水小学校)で出張授業を行った。高校生が主体となって、地域の自然やなごやに生息する外来生物について説明を行った。また、なごや生物多様性センターにこの地域に生息する野生動物の剥製をお借りし、実際に子供たちに触れてもらった。清水小学校にも協力を頂き、校庭に定点カメラを設置したところ、ハクビシンが果樹の果実を食べに来ていることが明らかになった。こういった連携を通して、さらに地域の生態系について調査を続けたいと考えている。
タヌキのフンの調査からは、街路樹の種子が多く検出された。名古屋市では、都市開発と、大きく育ちすぎた街路樹の倒木の危険回避のために、街路樹の伐採が進められている。この春、明和高校の側道のイチョウ並木が伐採された。これら人間の活動が、タヌキや他の野生動物にどのような影響を与えるのかも追跡する必要があると考えている。航空写真をみると、明和高校周辺は、住宅地が大きく広がる中にぽっかりと存在するオアシスのようなグリーンスポットとなっている。里山から移動してきた野生動物が偶然たどり着き、独特の生態系を形成している。この特有の生態系と、生き物と人間との共存について調査し、考えていきたい。
【活動PR動画】
【活動による成果・効果または活動によって今後期待できること】
・里山の野生動物と市街地の野生動物の相互関係を知ることができる。
・生徒自身が、生活環境に存在する自然環境や生態系を知り、考える機会となる。
・地域の人が、生活環境に存在する自然環境や生態系を知り、考える機会となる。
・地域と連携することで、さらに周辺地域の生態系への理解が深まる。
・名古屋城周辺の自然環境と歴史を知ることができる。
・生徒が地域と関り、探究活動を行うことができる。
・ヒトと野生生物とのより良い関係性を考えることができる。
【アピールポイント(活動において特に工夫したこと、注意・注目したことなど)】
・野生動物が入り込むとは思えないような都市部の中心に、里山にみられるような大型の野生動物、タヌキやキツネが目撃されるという驚き。
・小学校など地域との連携により、調査地域が広がり、自然環境への理解が深まる。
・さらに、地域の人々が自然環境について考えるきっかけとなる。
・都市部にすむ野生動物の生態理解と、人間活動による影響について知ることができる。
学校ホームページ: