【学校名】
福岡県立山門高等学校
【活動タイトル】
ニホンウナギの絶滅を回避するための広葉樹の森づくり
【活動開始年】2023年
【活動に関わっている学年および生徒の数】
1年12名、2年3名、3年2名 計17人
【活動内容】
山門高校Oneヘルスクラブは,伝習館高校が2014年から行っているニホンウナギのサンクチュアリづくりを引き継ぎ、サンクチュアリに欠かすことができない、飯江川上流100年の森づくりを行っています。
シラスウナギの特別採捕数は、九州大学の望岡特任教授の指導の下、現在までに12,000個体を超え、山門高校で冷凍赤虫を与えて70㎜以上に成長した個体はワイヤータグをつけて地域の小学生と放流しました。放流直前に石倉かごを使って私たちが放流したウナギを再捕獲し、再捕獲個体にイラストマー蛍光標識で個体識別を行いました。
個体識別をしたウナギを再々捕獲して飯江川での成長率を算出しました。また、自然林の腐植層の吸水率を測定しました。私たちの研究を啓発しています。
【活動PR動画】
【活動による成果・効果または活動によって今後期待できること】
現在までにウナギの稚魚を11,000個体以上放流しました。その内の57個体を再捕獲し、個体識別を行いました。自然の川で長期に及ぶウナギの成長率のデータはありませんでしたが、私たちは冬季と夏季のウナギの成長率を個体識別ウナギの再々捕獲から算出することに成功しました。
結果は、30㎝程度までは1ヶ月平均で,夏季は16.3mm,冬季は2.1mm成長したことが分かりました。また、2年後に再々捕獲したウナギもいましたので、長期におけるウナギの成長量を求めることも可能になりました。今後、再捕獲個体のデータを蓄積することで、自然の河川での成長量の精度をあげたいと考えています。
現在飯江川には魚道が整備されていない可動堰が多数あり、その影響で海から遡上して川で成長する魚類がほとんどいません。私たちは飯江川上流に広がった竹林を伐採し、吸水力が卓越した土壌を作ることで川に供給される水量を年間を通じて安定させ、飯江川の可動堰を撤廃しようとしています。
【アピールポイント(活動において特に工夫したこと、注意・注目したことなど)】
ウナギの飼育水槽にクスノキ落葉を入れると感染症に罹らなくなり、水替えをしなくても持続可能な水環境が維持できるようになりました。現在では、水替えをしていないのにウナギの死亡率は6.6%です。落葉のおかげで水を年間約5万7千リットル節約しました。
広葉樹の土壌の吸水力を評価するために、照葉樹の原生林が残っている清水山の土壌の吸水力を自分たちで考案した装置を使い測定しました。土壌の飽和含水量を測定するのに工夫しましたが、土壌の吸水力のデータから吸水力に乏しい竹林を伐採し腐植層が発達した広葉樹の森にかえる運動を推進したいと考えています。
2022年1月から飯江川上流の山川ほたる保存会の皆様と竹林を伐採し「飯江川上流100年の森」をつくっています。竹やぶを伐採したら数か月でエノキ、ムクノキ、イヌビワ、クスノキなど鳥が種子などを運んできて成長したと思われる樹種が一斉に成長をはじめました。自然は、私たちが少しだけ手を加えるだけで本来持っている持続可能なシステムをはたらかせることに気づきました。
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