リトアニア国際協力事業報告
※本事業は、イオン環境財団の助成を受けて実施しています。
意義
本種の渡りについては、標識調査等により 主に南北を移動していることが分かっていますが、小型の種であるため重量のあるGPSの装着は不可能で、詳細なルートについては把握されていないのが現状です。しかし、渡り鳥を保全していくためには、繁殖地と越冬地を保全していくのは当然のこと、移動中の休息場や採餌場となる中継地も重要なエリアとして保全していかなくてはなりません。特にコアジサシのように北半球と南半球を数千キロ移動する種にとっては、好条件の中継地の存在はエネルギー補給のためにも不可欠です。
現在、日本鳥類保護連盟ではアジア・オセアニア間の移動経路について調査を行っていますが、各地域個体群の移動経路は複雑に交差していることが推測されるため、種としてコアジサシを保全していくには、地球全体でとらえ、どの地域のコアジサシがどこを移動しているかを把握していくことが必要となります。そのためヨーロッパ個体群の生態を把握することは重要な課題です。
この活動では、越冬地、中継地等、重要と考えられる地域について考察し、世界に向けて発信して保全のための啓発を行っていきます。また、リトアニア共和国を起点としてヨーロッパ個体群の渡りルートが解明できれば、同じ北半球、そして同じユーラシア大陸の西端と東端(日本)において、コアジサシの渡りの特性を比較することもできるため、よりコアジサシの種の保全につなげることが可能となります。
方法
渡りルートを特定するために、繁殖期にコアジサシの成鳥を捕獲し、データロガーの一種であるジオロケーターを装着します。
ジオロケーターは照度と時間を記録するデータロガーで、記録された一日の照度の変化により日の出、日の入り時間を予測し、そこから緯度経度を算出します。これによって、コアジサシがどこを通って渡っているかを把握するものです。
2019年リトアニア国際協力事業報告