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  • 執筆者の写真JSPB 調査研究室

擬態をする生きもの

日本鳥類保護連盟の調査研究室では、鳥の調査で山や海に行く機会も多いのですが、そこでは鳥だけでなく色々な出会いがあり、驚きも絶えません。新鮮な出会いの繰り返しに自然は本当に底がないものだといつも感動しています。今回はそんな出会いを「擬態」をテーマにいくつか紹介してみたいと思います。


鳥で擬態というとフクロウ類が有名ですね。こちらはオオコノハズク。昼間は体を細めて木々に同化しています。薄目で見てはいますが眠そうです。


あまり擬態しているというイメージはないかもしれませんが、写真の鳥もなかなかなものです。どこにいるか分かりますか?これはキバシリです。いつも忙しく動いているので見つけられますが、動かないと見落としてしまいそうですね。


こちらはヤマシギ。茶色い複雑な模様をしていて、林内の落ち葉が蓄積した場所では背景に同化します。特に真上から見ると地表に溶け込み、オオタカなどの天敵から見えにくい模様をしています。


もう一つはオーストラリアにコアジサシの調査に行って見つけたオーストラリアガマグチヨタカ。どこにいるか分かりますでしょうか。完全に木のこぶのように同化していますね。この鳥も気づかれていないと思っているのか、それとも人間など眼中にないのか、気持ちよさそうに寝ていました。


鳥以外も見てみましょう。鳥つながりで鳥の糞に擬態した生きものを紹介します。


写真左はよく見かける生きものでナミアゲハの幼虫です。大きくなると緑色になりますが、小さいうちは鳥の糞に擬態した質感、色・模様をしています。柑橘系やサンショウの木を探せば簡単に見つかります。写真右はオカモトトゲエダシャクという蛾の仲間の幼虫です。これもぱっと見は糞に見えますね。


こちらはゾウムシの仲間でオジロアシナガゾウムシ。白と黒の可愛い昆虫ですが、これも糞に擬態していると言われています。


次に昆虫つながりで自然に溶け込んでいる生きものを紹介していきましょう。


これはアケビコノハ。蛾の仲間で、青々したアオキに止まっているので分かりますが、枯葉に紛れられると見つけるのは至難の業ですね。


これはムラサキシャチホコという蛾の仲間。どこがどうなっているか分かりますか?右向きにとまっています。まるでトリックアートのような世界に驚きを隠せません。擬態する蛾というと、先ずこの蛾があげられるぐらい群を抜いた擬態で、見れば驚くこと間違いありません。この写真を見るたびにこの蛾を見たときの感動が蘇ります。


こちらはヤママユという蛾の幼虫ですが、葉とそっくりで、意識して見ないと見つけられませんね。とてもきれいで目立ちそうですが、見事に葉と同化しています。


こちらはシラヒゲハエトリですが、分かりますか?中央右寄りに左を向いた状態でとまっています。ハエトリグモというとピョンピョン跳ね回っている印象がありますが、この時は身を伏せて動かなくなりました。背景に溶け込むことが安全だと思ったのでしょう。


こちらはルリタテハ。中央で左を向いてとまっています。タテハチョウ科の仲間は、翅を広げると鮮やかですが、翅を閉じているときは景色に溶け込み擬態しているものが多く見られます。ルリタテハもその一つ。複雑な模様が見事に樹皮に同化していますね。


これはアトモンサビカミキリ。どこにいるか分かりますか?中央で右向きにとまっています。住宅地でも見られるような身近なカミキリです。ぜひ見つけてみてください。


こちらはウラギンシジミの幼虫。紫色をしており、フジやクズの花に同化しています。とてもきれいですが見つけるのは大変です。これからの季節、クズの花を見つけたら探してみてください。刺激するとお尻の角の部分からポンポンのようなものを出し入れします。威嚇しているのだと思いますが、とても興味深い行動です。


写真左はトゲナナフシ。ナナフシも擬態する昆虫としては有名です。木の枝になりきった姿は、とても興味深いものです。写真右は奄美大島の調査中に撮影したアマミトガリナナフシ。これはまだ若い個体でしたが、

まだまだ大きくなる日本最大のナナフシです。


こちらは皆さんよくご存じのニホンアマガエル。環境の背景に合わせて色・模様を変える生きものとしてはカメレオンやヒラメ、タコなど色々いますが、このニホンアマガエルも負けていません。時間はかかりますが、背景に合わせて色を変え、自然に溶け込んでいきます。


こちらはモリアオガエル。通常の緑一色ではないので驚きますが、これもモリアオガエルです。ニホンアマガエルのように背景に合わせて模様が浮き出たわけではなく、元からこういうタイプの様です。これを見かけたのは静岡県ですが、一時停止で止まった交差点で道路わきにいたこのカエルが目に入り、なぜ南西諸島にいるイシカワガエルこんなところに?!と慌ててしまいました。


これはマダラマルハヒロズコガという何とも長い名前の生きもので、ミノムシに近い蛾の仲間の幼虫です。樹皮や木の根元に引っ付いているのですが、いると分かっていても見つけにくいほど樹皮に同化しています。意外にも街中の公園で見つけることができるぐらい身近な生きものです。


最後は加計呂麻島で見たツバメウオの幼魚。枯葉に擬態しているそうで、横になった状態で水面を浮遊しています。教えてもらわなければ気づかないほど魚らしくなく、死んでいるかのようにまったく動かず漂っていました。


ここでご紹介した動物だけでなく、自然界の中には意識していないと気づかない動物がたくさんいます。皆さんもぜひ探してみてください。


おまけ

いくつか今日登場した生きものたちを別の角度から紹介します。


キバシリ
オーストラリアガマグチヨタカ
ムラサキシャチホコ
ヤママユの成虫
シラヒゲハエトリ
ルリタテハ

























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