
地域の命を未来へつなぐ学校ビオトープ
🏫潮来市立延方小学校 📍茨城県
〇参加人数・部活名等
令和8年度全校児童 291名(主な活動は第3~6学年)、教員16名
〇活動場所
学校ビオトープ及び校内施設
活動内容
本校は茨城県南東部の水郷地帯に位置し、田んぼや用水路には野生のメダカが生息し、夏にはカブトムシが飛来するなど、豊かな自然環境が残っている。以前、本校は環境教育に力を入れていたが、担当者の異動などにより活動が停滞し、施設の老朽化が目立つようになっていた。
そこで、令和5年度から、理科室前のため池、校内北西部にある「トンボ池」と呼ばれる学校ビオトープ、昇降口付近にある四つの大型水槽を活用した活動を始めた。本校の学校ビオトープは、「2025 年度全国学校・園庭ビオトープコンクール」で「学校・園庭ビオトープ賞」を受賞した。これを到達点とせず、児童が身近な野生生物に「親しみ」「理解し」「守り」「広める」とともに、その学びを次の学年へつなぐ活動へと発展させている。
第6学年は、ビオトープの調査と環境改善に取り組んだ。水がたまらなくなった池にビニールシートを敷き直し、滑りやすい場所を土のうで囲むなど、低学年でも安全に観察でき、生き物も暮らしやすい環境を整えた。また、劣化した看板の塗り直し、生き物図鑑を掲示する掲示板の整備、観察や休憩に使うベンチの製作、カブトムシが産卵し、幼虫が育つための腐葉土づくりなどにも取り組んだ。さらに、児童同士の話し合いを基に、ビオトープ内を「メダカの学校」「カブトムシの基地」「キノコの里」などと位置付け、どのような生き物が暮らせる環境にしたいかを考えながら整備を進めている。
第5学年は、延方地区で採集したクロメダカのふ化・繁殖活動を行っている。理科室前のため池で飼育してきたクロメダカを採集し、理科室内のグループ水槽で飼育して産卵を待った。採集した卵は、顕微鏡やタブレットを使って継続的に観察した。ふ化した幼魚はすぐに池へ戻さず、外敵が少なく、水温を管理しやすい大型水槽で育て、成長後にビオトープへ放流した。その後も生息状況や繁殖の様子を観察し、次年度の飼育や環境改善につなげている。
第4学年は、地域団体との共催行事として、北浦の水質調査と生き物調査を行った。外部講師から透明度調査や COD パックテストなどの方法を学び、北浦の水環境を調べるとともに、外部講師が採集した水辺の生き物を観察し、実際に手で触れる体験をした。そこで得た知識を学校ビオトープの調査に生かし、地域の水環境と校内の水辺を結び付けて考えた。
第3学年は、カブトムシが継続して育つ環境づくりに取り組んだ。校内の落ち葉を集め、米ぬかなどと混ぜて腐葉土をつくり、カブトムシが産卵し、幼虫が成虫になるまで育つ場所を整備した。幼虫は手掘りで確認し、傷つけないように移動させ、成虫までの成長を見守った。こうした活動を通して、生き物そのものだけでなく、生き物を支える土や落ち葉などの環境を守ることの大切さも学んでいる。
第1・2学年も生活科でビオトープの生き物に親しみ、第3~6学年が作成した記録や生き物図鑑に触れている。 低学年から高学年までの学びをつなぎ、学校全体で「親しむ・理解する・守る・広める」野生生物保護活動へ発展させている。
PR資料
Skip to PDF content成果・工夫した点
本活動の大きな工夫は、教員が完成した環境を用意するのではなく、児童がビオトープを観察して課題を見いだし、話し合い、改善方法を考え、自ら手を動かして環境をつくり直している点である。
第6学年では、ビオトープの観察から、「水がたまらない」「ビニールシートの部分が滑りやすい」「どのような生き物がいるか分からない」「休む場所がない」「腐葉土が十分でない」などの課題を見いだした。これらを基に、池の補修、土のうによる安全対策、看板の修繕、生き物図鑑の掲示、ベンチの製作、腐葉土づくりへと活動を広げた。その結果、老朽化していたビオトープが、児童が継続的に生き物を観察し、生息環境を考える学びの場へと変わった。
また、野生生物を「採集する」「飼う」だけで終わらせず、命が次の世代へつながる生息環境まで考えていることも特徴である。第5学年のクロメダカでは、採集、飼育、産卵、卵の観察、ふ化、幼魚の育成、ビオトープへの放流、その後の経過観察までを一連の活動として継続している。第3学年のカブトムシでは、幼虫を見つけることだけを目的とせず、落ち葉や腐葉土を維持し、産卵から幼虫、成虫へと命がつながる野外環境を整えている。観察記録や話し合いでは、「幼虫だけでなく、落ち葉や腐葉土も残したい」という意見が見られ、児童の関心は、生き物を見つける楽しさから生き物を支える環境を守ることへと広がった。
第4学年では、地域団体や外部講師と連携して北浦の透明度や COD、生き物などを調査し、地域の自然環境について学んだことを学校ビオトープの調査と改善に生かした。学校内だけで活動を完結させず、地域の水辺と学校ビオトープをつながりのある学びの場として捉えることで、野生生物とその生息環境への理解を深めている。
加えて、学年ごとの役割をつないでいる点も本活動の成果である。第1・2学年は身近な生き物に親しみ、第3学年はカブトムシ、第4学年は水環境、第5学年はクロメダカ、第6学年はビオトープ全体の調査・改善・継承を担っている。観察記録や生き物図鑑、整備した環境を次の学年へ引き継ぐことで、一つの学年や単年度で終わらない継続的な活動になった。さらに、児童が作成した生き物図鑑を校内に掲示することで、自分たちが調べたことを他学年へ広める活動にも発展している。
今後は、クロメダカの個体数や繁殖状況、カブトムシの幼虫・成虫の確認数、生き物の種類、水質などを季節ごとに継続して記録し、環境改善による変化を確かめる。また、生き物図鑑や掲示板を活用した発信を続け、地域の方や専門家とも協力しながら、児童自身が調べ、考え、改善し、次の学年へつなぐ野生生物保護活動として発展させていきたい。
🏫学校情報
潮来市立延方小学校
〒311-2442
茨城県潮来市小泉2090番地
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