
この素晴らしき作手の自然を未来へ
~閉校後も繋ぐ仕組みづくり~
🏫愛知県立新城有教館高等学校作手校舎
📍愛知県
〇活動期間:2022年~
〇参加人数・部活名等
農業クラブ執行部 生徒10名、教員1名
〇活動場所
創造の森城山公園、学校周辺、矢作川水系巴川、長ノ山湿原
活動内容
作手地区には環境省から「日本の重要湿地500」に選定されている湿地が点在しており、そこを棲みかとする貴重な動植物が現在でも生息している。作手校舎での学びの中で、科目『農業と環境』において実施した校内生物調査では、環境省のレッドリストに記載される準絶滅危惧種のアカハライモリやコオイムシが生息していた。しかし、河川での生物調査では条件付特定外来生物のアメリカザリガニが捕獲され、在来種の生息環境が脅かされている。そこで私たちの先輩方が2023年度から作手地区の生物環境を保全し、未来へ残していくために生物相調査およびアメリカザリガニ駆除活動に取り組んできた。2024年度からは新城市から補助をいただき、外来種を樹脂に閉じ込めたキーホルダー作りなどのワークショップを通じた外来種啓発活動にも力を入れてきた。しかし、2025年8月に愛知県から発表があり、私たちが通う作手校舎が2030年3月末に閉校することが決定してしまった。これまでの「作手校舎が中心となり、作手地区の生物環境を保全する活動」から「作手校舎閉校後も作手地区の生物環境を保全していくための仕組みづくりの活動」へと活動方針を変更した。作手地区に生息するアメリカザリガニは、もともとは生息分布していない地域であり、作手に暮らす方が自然に逃がし繁殖した生物である。生き物の生態について学ぶことで生き物との正しい付き合い方を知り、「じぶんごと」として捉え、それが作手の生物環境の保全へと繋がると考えている。私たちは作手の自然が好きで、将来まで残していきたい強い思いがあり、作手校舎閉校後も生物環境を守っていける仕組みづくりを目指し、3つのことに取り組んでいる。
第1に生物観察会である。新城市が行う地域活動交付金事業の中で作手地区の生物観察会を2025年度から開催している。作手地区にある市が管理する自然観察が行える「創造の森城山公園」を開催地に設定し、参加者と共に多種の生物の観察を通じた環境学習を展開している。主に昆虫類を対象とし、事前に仕掛けたトラップの回収、参加者と一緒に捕虫網での採集を通して、生態の説明や多様な生き物の関わり合いで生物環境が成り立っていることを伝えている。
第2に外来種啓発活動である。2023年度からアメリカザリガニ駆除活動に取り組んでおり、学校のイベントとして「アメリカザリガニ駆除大作戦」を全校生徒に呼びかけ実施している。また、食用昆虫科学研究会の方々と共に、環境省から総合対策外来種に指定されるフェモラータオオモモブトハムシの駆除も行っている。現在は、それら駆除個体の利活用を通じた外来種問題を考える環境学習会を開催している。アメリカザリガニは粉末状に加工し、肥料効果の検証および生地に混ぜたクッキー作りに挑戦している。フェモラータオオモモブトハムシは、成虫を樹脂の中に閉じ込めたキーホルダー作りのワークショップを定期開催している。
第3に保全活動の担い手育成である。これまでの保全活動の情報発信により活動の輪が広がり、現在3団体と連携・協力した活動を展開している。新城市長の下江洋行様にこれまでの保全活動について毎年報告している。取り組んできた活動が作手地区の生物環境にとって大切なことであり、協力していきたいとのお言葉をいただいた。また中日新聞において生物観察会の様子が記事となり、その記事から活動を知っていただいた奥三河を中心に環境学習会を開催する一般社団法人ClearWaterProject様からご連絡をいただき、一緒に作手地区の生物環境を保全していくための仕組みづくりに取り組んでいる。今年度8月には共同で生物調査を実施し、その手法を学ばせていただきました。さらに、同月に作手地区で行われた愛知県東三河総局環境保全課主催、東三河の水辺環境を親子で学ぶ夏休みエコツアーの講師役にも誘っていただき、今までの活動で培った知識をこれからの将来を担う子供たちに作手の環境を伝えることができた。
PR資料
Skip to PDF content成果・工夫した点
2025年度に実施した3回の生物観察会では、延べ26名の方々が参加してくださった。その生物観察会の様子が中日新聞にも取り上げられ、作手の生物環境や私たちの活動の発信につながった。そして、今年度の8月9日に開催した生物観察会では10家族42名の参加者につながった。参加者アンケートでは「前回も参加して楽しく学べたから」と継続して参加してくださる方や、「子供が生き物に興味があり、生物観察会のことを知って参加した」と発信した情報から知っていただき参加された方もいた。また、尾張地方から参加されたご家族もおり、これまで行ってきた情報発信が幅広い地域の方々に伝わり、開催した生物観察会が環境学習の場として機能した。
【外来種啓発活動の成果】
アメリカザリガニ粉末の肥料効果を確認するためにプランターでの野菜栽培実験を行った。その結果、粉末肥料を加えた試験の方が野菜の生育が良いことが分かった。そのことからアメリカザリガニ粉末を用いた寄せ植えづくり講習会を開催した。大雪の中であったが2家族4名の方が参加した。作った寄せ植えは作手総合支所に展示し、地元の方々に外来種問題を寄せ植えを通して伝えた。また、食用への利用としてクッキーを作り、食味試験も行い万人受けしやすい食用への利用を模索中である。これら取り組みを、一般社団法人ClearWaterProject様主催の環境学習会で発表した。アンケート結果には「外来種駆除活動に参加したい」「利活用についてもっと知りたい」などの外来種問題への興味・関心の向上につながった。また、フェモラータオオモモブトハムシを活用したキーホルダー作りのワークショップを名古屋市農業センターにて開催した。20名の子供たちが参加し、生き物を最後まで育てることや生き物の命の大切さを伝えた。
【保全活動の担い手育成の成果】
新城市長への活動報告からこれまで取り組んできた保全活動の成果が高く評価されたことで、2025年11月26日に新城市と「持続的な地域社会の形成と未来を担う人材育成」を目的とする連携協力協定を締結した。作手地区での取り組みを新城市全体へと還元すると共に、生物多様性の保全に関して新城市との連携・協力関係を築くことで作手校舎閉校後も保全していく仕組みづくりに一歩近づくことができた。その一環として、新城市の環境基本計画に作手校舎での生物保全活動の取り組みが盛り込まれる方向で進んでいる。
現在行っている生物観察会や保全調査の手法などをモデル化する作業を進めており、誰でも行える資料を目指している。
外部団体との連携に関して、ClearWaterProject様とは「作手校舎閉校後も生物環境保全を続けていく仕組みづくり」を目標として、今年度共同での生物調査や環境学習会も開催している。生物調査では、その手法を教わりながら作手地区の生物環境を調査しており、その結果を踏まえて連名での自然共生サイト認定を目指している。環境学習会では、保全活動の発表など身近な生物の大切さを伝えている。参加アンケートには「子供が作手校舎に行って保全活動をしたい」との感想もあり、この活動が生物環境を「じぶんごと」として考えるきっかけづくりとなり、保全意識の向上から将来の生物環境を守る担い手育成につながったと感じている。また現在、地域環境リーダーの方々と共に、その指導に関わるグリーンフロント研究所株式会社主催の保全活動に参加させていただいている。湿地における園芸種のサギソウの除去活動や生物調査について体験しながら学んでいる。この経験から、来年度から作手地区の地域環境リーダー認定を目指しており、これまで以上に保全活動の幅を広げ、作手校舎最後の1日まで作手地区の生物環境を発信していく予定である。
🏫学校情報
愛知県立新城有教館高等学校作手校舎
〒441-1423
愛知県新城市作手高里字木戸口1番2
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